概 要

 

  2000年から2010年の、和文雑誌27誌のインパクトファクター(IF:5-year impact factor)

  トムソンロイター社が公表しているインパクトファクターとは異なる

 

  データベース:PsychoFindJ(加藤・馬場・太幡・下田・福田・大久保, 2013 

  35誌と掲載論文約30,000篇から構成されている

 

加藤 司・馬場真美子・太幡直也・下田俊介・福田美紀・大久保暢俊(2013)

インパクトファクターからみた“心理学研究”の評価 

心理学研究, 84, 146-155. DOI: 10.4992/jjpsy.84.146. PMID: 23848002.

 

心理学関連の和文雑誌27誌

 

    「心理学研究」「動物心理学研究」「教育心理学研究」「心理学評論」「社会心理学研究」「実験社会心理学研究」「心身医学」「特殊教育学研究」「カウンセリング研究」「バイオフィードバック研究」「行動計量学」「行動療法研究」「応用心理学研究」「基礎心理学研究」「生理心理学と精神生理学」「心理臨床学研究」「神経心理学」「青年心理学研究」「行動分析研究」「産業・組織心理学研究」「家族心理学研究」「健康心理学研究」「発達心理学研究」「感情心理学研究」「パーソナリティ研究」「認知科学」「認知心理学研究」(創刊年順)

 

主たる結果

 

  最新(2010年)のIFでは、教育心理学研究が最も高い(IF=0.48)、次に、認知科学(IF=0.28)、パーソナリティ研究(IF=0.27)、行動療法研究(IF=0.24)、行動分析研究(IF=0.23)、心理学研究(IF=0.22)と続く。11年間の平均も、ほぼ同じような順序である。

  自誌引用率が極めて高い雑誌も存在し、投稿する際には、慎重にならなければならない。上記であげた雑誌の中では、認知科学の自誌引用率が高い。

  本当に注目しなければならない点は、雑誌の順位ではなく、その数値。もっとも高い値を示した『教育心理学研究』でさえ、0.48。つまりは、出版されて5年間も経つのに、論文は1回すらも引用されない、ということ。もう少し、厳しく言うと、心理学関連の和雑誌に論文が掲載されたとしても、日本人ですらそれらの論文を引用しないということ。誰にも引用されない論文に価値はない。

 

 

詳 細

 

データベース(PsychoFindJ)について

 インパクトファクター(IF)を計算するには、まずは、「どの学術雑誌に引用されれば、被引用回数にカウントするのか」を決める必要がある。そして、その学術雑誌に掲載されている論文に、引用されているすべての論文をデータベース化しなければならない。

 PsychoFinderJには、継続前誌を含む35の学術誌と約30,000篇の論文に関する情報が収録されている。PsychoFinderJの収録誌は、1919年から2010年までに『心理学研究』に掲載された200篇(全体の約10%)に引用されていた回数の多い学術誌及び、トムソン・ロイター社の収録基準(Thomson Reuters, 2012)、査読制度の有無、入手のしやすさなどを考慮に入れ、かつ、認定心理士の単位認定基準を参考に設定した六つの心理学領域から偏りなく選定されている。

   加藤ら(2013)の研究では、PsychoFinderJの収録誌以外に収録すべき学術誌が存在するかどうか検証するために、収録誌以外の学術誌50誌(2010年・2011年刊行)を選出し、“心理学研究”の被引用回数をカウントした。その結果、2011年の“心理学研究”のIFに影響を及ぼす被引用回数は2回であり、IFへの影響はわずか0.007であった。これらのことから、PsychoFinderJの学会誌選定は妥当であると考えられる。

 つまり、大学紀要はともかく、査読のある学術論文をこれ以上データベースに加えたところで、ここで報告しているIFの値はほとんど変化しませんよ、という意味。

 より詳しくは、加藤・馬場・太幡・下田・福田・大久保(2013)を参照

 

被引用期間(5年間)

  

  トムソンロイター社が算出しているIFの被引用期間は2年間。被引用期間の適切な長さは研究領域によって異なり,被引用期間を2年間と定めることに対して批判がなされている。そこで,加藤ら(2013)は,“心理学研究”の被引用回数の推移,累積型IF(cumulative impact factor),被引用半減期(cited half-life)に基づき,被引用期間が5年間とすることが妥当であることを示した。本研究では加藤ら(2013)に倣い5年間のIFを算出する。

  加藤ら(2013)とは加藤・馬場・太幡・下田・福田・大久保(2013)

 

 

 

データのダウンロード

  

日本の雑誌のインパクトファクター(PDF) 心理学系雑誌27誌の2000年から2010年までのインパクトファクター


 

基本情報(PDF) 各雑誌に関する基本情報と、インパクトファクター(平均)、自誌引用率(平均)、被引用回数、掲載論文数

 

自誌引用率(PDF) 心理学系雑誌27誌の2000年から2010年までの自誌引用率

 

 

全文(PDF) 論文にしてみました。表題「2000年から2010年までの主要心理学27誌のインパクトファクター」

 

 

★論文などで引用する際は、下記の記載をおねがします。

加藤司・馬場真美子・太幡直也・下田俊介・大久保暢俊・福田美紀

2015

2000年から2010年までの主要心理学27誌のインパクトファクター

Kato’s Lab Paper, KL2015-001.

Retrieved from http://katolabo.web.fc2.com/KL2015-001.pdf

  

PsychoFinderJによって明らかにできること

 

〇各学会誌(上記27誌)が出している優秀論文賞なるものが、妥当な選考の元、選出されているかどうかを検証する。

 選出方法が妥当であるならば、優秀賞に選出された論文の引用数は、他の論文と比較して多いはず。もし、そうではなくて、審査委員などのコネや学閥などで選出しているならば、優秀賞論文は全く(あるいはほとんど)引用されておらず、むしろ、審査委員の学閥・人間関係と相関している。

〇高頻度で引用されている論文(研究意義のある論文)を抽出する。

〇上記27誌の創刊年からのインパクトファクターの推移や自誌引用率の推移

 など

  

問い合わせ

 

 上記27誌に関して、継続前誌からのデータを保有しているので、条件が折り合えば、それぞれの雑誌に関する詳細なデータを提供することができます。あるいは論文の執筆。たとえば、「創刊年からのインパクトファクターの推移」「自誌引用率の推移」「高頻度で引用されている論文の抽出」などなど。ただし、データは加工が必要なので、データの提供及び論文執筆には、時間がかかります。

 各関係諸機関からの問い合わせは下記まで

 

加藤司

flexcoping@gmail.com

 

用語解説

 

 気が向いたら、書きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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